在宅医療では、病院や施設などと異なり医療従事者がすぐそばにいる環境ではないため、
不測の事態が起きた時に何をしたら良いのかわからず、正しい判断ができない可能性があります。
しかし前もって備えておくことで、万が一の際も落ち着いた行動をとることができます。
今回は、急変時に備えて今からできることを3つご紹介いたします。
もしもの時の連絡先をリストアップしておく
在宅医療をしていく中で、患者様の容態が急変することも考えられます。直接命に関わることではなくても、発熱や嘔吐、身体の痛みが起こりうる可能性があります。
このような場合、まずは普段の状態をよく知っているかかりつけ医や訪問看護ステーションに連絡しましょう。
現在の病気や状態は人によって様々ですので、同じ高熱でも緊急度が異なります。咄嗟に救急に連絡をしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、より患者様本人に合った処置を行うには、普段から知っている医療従事者に連絡を取るのが良いでしょう。
連絡先をスマートフォンや携帯電話に保存されている方も多いと思いますが、もしもの時に誰でもすぐ見つけられるよう、紙に書いて目に入るところに貼っておきましょう。加えて、いつも持ち歩くカバンの中に連絡先を書いたメモを入れておくと、外出時でも安心です。
<リストアップしておくと安心な連絡先>
- ご家族(キーパーソンとなる方)
- かかりつけ医
- 訪問看護ステーション(緊急連絡先も控えておきましょう)
- ケアマネージャー
また、在宅療養中に容態が急変し、緊急搬送されそのまま入院することもあるかもしれません。
このような場合は後日の落ち着いたタイミングで構いませんので、いつ、どのような症状で入院することになったのかを、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネージャーなどに連絡を入れましょう。
最期の希望をまとめておく
病院ではなく、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと在宅医療を希望されている方も多いと思います。その他、病気の有無に関わらず患者様ご本人が、自分の人生の最後はこうしてほしいと希望を持っていることもあるのではないでしょうか。具体的には、延命治療はしてほしくない、できるだけ痛みは取り除いてほしいといった希望が挙げられます。
これらのより良い最期を迎えるための希望をまとめることをリビングウェルと呼びます。
最近では自治体や病院などでも、書き込み式のノートを無料配布しているところが増えてきました。どのようにまとめれば良いかわからない方は、参考になさってはいかがでしょうか。年を重ねるにつれ、想いが変わってくる方もいらっしゃいますので、鉛筆などで書き換えられるように記入するのがおすすめです。
書き留めた後は、ご家族やかかりつけ医、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなどに伝えておきましょう。
最期に備えた話し合いを行なっておく
最近では「ACP」といった言葉もよく耳にするようになってきました。これはAdvance Care Planningの略称で、患者様ご本人のお考えや価値観をご家族や医療従事者に伝え、より良い最期を迎えられるようにするための話し合いを指します。
ご自身が主体となって進めるリビングウェルとは異なり、医療従事者と行うACPであれば、本人の価値観に合う選択肢を医療介護職目線でアドバイスができるため、同時進行で定期的に行うと良いでしょう。
なかなかACPを行うのが難しい場合は、先述の通りまずはご家族に向けてご自身の希望を伝えておきましょう。
まとめ
緊急時にはパニックになり、冷静な判断ができないこともあると思います。
しかし日頃からもしもに備えておくことで、患者様ご自身だけでなく、ご家族の方も落ち着いて行動できるかもしれません。
またご自身の希望をまとめ、ご家族に伝えておくことで、
「最後はお家で過ごしたいって言われていたから、できるだけ救急車ではなく訪問看護師を呼ぼう」といったように
大事な局面での判断材料になり得ます。
今回ご紹介した3つには、すぐにできることから時間をかけてゆっくり行うことまでございます。
特に最期の希望をまとめるのは、人によってなかなか進まないこともあるかもしれません。
気分が乗った時、ご家族や友人と話した時など少しずつ考えをまとめておくと良いでしょう。